私は卒業後30年間外科医でした。一人一人を大切に自分の技術で治療をしたいとの思いで外科医になりました。外科医としては胃や大腸や肝臓など臓器ごとに専門性を追求することが良いとされますが、私は臓器よりも患者さんの一人一人の状況にあった治療をすることにこだわりをもってきました。病状によっては複雑となる問題も、その道の先進的な治療をされている第一人者にコンサルトすることもありました。総合的に最善と思われる治療を患者さんや家族と相談し、1回の手術治療を最善で負担が少なくなることを第一に考え治療してきました。手術以外でも、患者さんを全身的に病状診断して初めて明らかになった心疾患・糖尿病・精神疾患などの術前術後の管理や、進行がんの方には緩和治療や看取りの最後まで診させて頂くことを大切にしてきました。20年ほど前からは山梨在宅医療研究会にも勤務医としては唯一参加し、10年ほど前からは健診センターや老健施設とも関わるようになりました。これまで培ってきたことを外科医としてより、これからは在宅医として地域の皆様のお役に立ちたいと思い、クリニックを立ち上げました。住み慣れた場所での療養を、スタッフ一同でサポートします。調剤薬局や訪問看護や介護やケアマネや地域の福祉の方々と連携し、患者さんや家族の生活を支えます。新たな礎をこの地域に、地域医療・地域包括ケアの一役として担っていきたいと思います。